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XANADU コラム 第一回 ネタにしたもの、なったもの

XANADUは非常に影響力の強かったゲームで、
その後のコンピュータゲームやファンタジー系創作物に多大なる影響をもたらしています。
例えば、テイルズシリーズやカルドセプトシリーズなどには、
XANADU関連と思われるモンスターがいくつか登場。
アイテムでも、後発の創作作品で良く登場する日本刀、妖刀ムラサメなどは、
XANADUの武器、Murasame-Bladeの影響が大きいと思われます。(※1)

また、XANADUによって影響を受けた物だけでなく、
XANADUと言うゲーム自体も他の媒体から影響して造られた部分が多数あります。
そこで、今回以降の「裏コラム」ではXANADUがネタにしたものや、
XANADUをネタにして造られた物の話題を語ってみたいと思います。

なお、今回以降のコラムはかなり裏面の事情に入り込んでしまうので、
XANADUファンの方には不快な描写があるかも知れません。その点ご注意下さい。


※1 妖刀ムラサメ
XANADU以後、日本の創作物でムラサメを冠する妖刀の出現率が急激に上がっているのは事実なので、
XANADUがゲームや漫画などに登場する妖刀に大きな影響を及ぼしたのは間違いない。
(例を挙げると1987年に連載が開始された萩原氏の漫画「BASTARD!」が顕著。)
だが、そもそも
XANADUのMurasame-Blade自体がオリジナルではなく
恐らくWizardryに登場する最強武器MURASAMA(MASA) BLADEを元ネタにしていると考えられる。
また、小説「南総里見八犬伝」に登場する神刀「村雨丸」の影響もあると思われるので、
XANADUのMurasame-Bladeがこの手の怪しい日本刀のパイオニアという訳ではない。
この辺りの事情はチト複雑なので、ムラサメに関しては次回の「裏コラム第二回」でより深く解説します。




■ 実はXANADUオリジナルのモンスターなど無かった

XANADUに登場するアイテムやモンスターは、デザインや名前が一風変わっており、
一見すると「なんだこれは?」と首を傾げたくなる物がいくつかあります。

余り他社製のゲームで見られない奇妙なモンスター……デカトン、ボルトやセンダムなど。
どんないわくや伝承があるのか? 形状すらよく分からない武器……ボーパルウェポンなど。
こう言った独特なアイテムやモンスターは、一見するとXANADUオリジナルの物に思えます。

さらに、モンスターの読み方に関しては、マニュアルやXANADUデータブックなどで、
"Lilith"の読み方が「リリティ」になっていたりと、奇妙なものが多いのも特徴です。

こう言った奇妙な名前他に無い特徴あるモンスターなどが、
XANADUの特異性やオリジナリティを際だたせている訳ですが、
実際の所、これらの事柄は単刀直入に言って、
XANADUに登場するアイテムやモンスターの殆どが、
1978年にアメリカTSR社が発売した卓上ゲームである、
TRPG“Advanced Dungeons & Dragons 1st Edition”
(アドバンスト ダンジョンズ & ドラゴンズ 第一期)
のルールブックやモンスターマニュアルを参考にして、
そこからネタを拝借した結果による物です。


つまるところ、実際にはXANADUオリジナルのアイテムやモンスターは殆ど存在せず、
大半はAdvanced Dungeons & Dragons 1st Edition(以後AD&D第一期)に記載されていた
アイテムやモンスターをそのまま安直に流用していたのが現実だったのでした。(※2)

これがその元ネタ本とも言うべき、
TRPG ダンジョンズ&ドラゴンズの上級ルール、
Advanced Dungeons & Dragons 1st Edition である。

1978年に登場し、その後ルール等を大幅に変更しつつ第二期、
第三期と改訂されていったので、
2010年現在のD&Dとは雰囲気がまるで異なる。

この第一期のルールは和訳されなかったので、
日本では殆ど知られていない。

TRPG、ダンジョンズ & ドラゴンズシリーズは1970年代の終わりに世に出た卓上ゲームで、
現在存在する全てのロールプレイングゲームの元祖と呼べるゲームです。
(※ TRPGに関しては、当Webページのゲームブックのコラムを参照して下さい)
その為、ダンジョンズ & ドラゴンズ(以後D&D)はXANADUに限らず、
ありとあらゆる後世のファンタジーゲームに対して大いなる影響を与えており、
例えば、かのWizardryなどもモンスターやルールを概ねD&Dから転載している訳ですが、
Wizardryではコボルト、ドラゴン、オーガ、ヴァンパイア、ジャイアントなど、大半は当たり障りのない、
古今東西の伝承や神話、民話に登場するものを拝借しているに留まっているのに対して、
XANADUではD&Dオリジナルのモンスターを大量に拝借してしまっている部分が問題を複雑にしています。

また、和訳の読み方に関してもファンタジーや神話に関する資料の少なかった70〜80年代初頭、
日本語訳された資料など殆どなかった為、特殊なモンスターは読み方が解らなかった場合が多く、
それに適当な読み仮名を付けてしまった結果、前述の「奇妙な名前のモンスター」が誕生する事になりました。
つまり、XANADUのモンスターで感じるちょっとした違和感は、
開発者がD&Dオリジナルの読めない単語のモンスターをそのまま採用してしまった
事によって生じている訳です。


※2 安直な流用
ただ、こう言ったAD&D第一期からの流用はXANADUだけの事ではなく、他にもシステムソフトの「ティル・ナ・ノーグ」など、
露骨に流用しているゲーム作品は多数あるため、XANADUだけを取り上げてことさらに騒ぎ立てるのはフェアではない。




■ 日本では出版されなかったので……

前項で、XANADUにはネタの流用、転載が数多くある事を解説しましたが、
XANADUが世に出てから今の今まで、
そう言った転載や流用されたネタが指摘されるケースは殆どありませんでした。
それは何故か? 単刀直入に結論から言ってしまうと、
原著が和訳されることがなく、日本では極めてマイナーな存在であったことに尽きます。

日本ファルコムのXANADU開発陣は、
TRPGであるダンジョンズ & ドラゴンズ(以後D&D)が日本語に和訳される以前に、
アメリカから英語版のD&Dルールブックを取り寄せて、それを参考にしていた訳ですが、
D&Dには初級者用のルールと、上級者用のルールである「アドバンスト版」が存在し、
XANADUが参考にしたのは1978年アメリカで発売された上級者用「アドバンスト版」と、
それに付随するモンスター資料などの書籍でした。


そして1985年に、満を持してD&Dの初級者向け基本ルールが日本語に翻訳され、
新和社から出版されましたが、和訳されたのはその基本ルールの方だけで、
結局上級者向けであるXANADUが参考にした「アドバンスト版」や、
それに対応したモンスター資料などは和訳されませんでした。
(※3)
その為、英語版の原著を独自に輸入して読んだ人でもない限り、
D&DとXANADUの関連性を語れる人はいないと言う状態が生まれたのです。

1985年に和訳されて初めて日本で出版されたD&DはこのD&D Basic Ruleである。
所謂「基本ルールブック」と言う物で、上級者用のアドバンスト版とは異なる。
ルール、アイテム、モンスター何れも相当数が改訂されている為、
これを読んでもXANADUとのあからさまな関連性は感じられない。

そして、アドバンスト版第一期は結局和訳されないまま終わった。


※3 和訳されなかったアドバンスト版
実は厳密に言えばアドバンスト版は1991年に新和から和訳出版されているのだが、
これはルールなどが大幅に改訂された「第二期」の物であり、
結局第一期のアドバンスト版は日本では無名のまま終わっている。

D&Dは母国のアメリカで過去に宗教団体から圧力を受けた歴史がある為、ルールが改訂される度に、
デーモンやデビルなど、宗教色の強いモンスターは名前や設定を大幅に変えられている。
その影響で、AD&D第一期のみに存在し、第二期以降のAD&Dでは削除されてしまったもの、あるいは、
名称やデザインが大幅に変更されてしまったアイテムやモンスターが相当数存在する。
幸か不幸か、XANADUが転載したモンスターはそう言った「現行のAD&Dで消滅したモンスター」が多かった為、
多数転載しているにもかかわらず、日本では知られることも指摘されることもなく、
一見するとXANADUオリジナル作のように見えると言う皮肉な結果をもたらした。

なお、2010年現在、ホビージャパンより出版されているダンジョンズ&ドラゴンズTRPGは、
初級者用ルールと上級者用のアドバンストルールを統合して再編集した「第四期」の物なので、
ここで紹介しているAD&D第一期のルールや登場するモンスターなどとは相当な差がある。



■ 元ネタ アイテム編

前置きが長くなりましたが、それではXANADUは具体的に、
どのような物を参考にして造られていたのか? を、具体的に見てみましょう。
まずはアイテムの方から……

Luck-Blade(ラックブレード)
XANADUではレベル9のタワーで手に入る魔法の剣。
同じレベル9ではさらに強力なMurasame-Bladeが手に入るので使った人はいないであろう、無駄な武器。

恐らく、元ネタとしてはAD&D第一期に記載されている「Sword+1, LuckBlade」であろうと思われる。
AD&Dでは、願い事を叶える「Wish」の効果を秘めた剣という設定だった。
XANADUでは「装備しているとFoodの減りが遅くなる」と言う効果を付けたかったらしいが、結局採用されなかった。
その上、ゲーム中では本来Disrupt-Maceであるべき槍が、データミスでこれに化けていた。
……全然幸運じゃない。

Giant-Slayer(ジャイアントスレイヤー)
レベル8の入ったら出られない罠のようなタワー内に落ちていた武器。
脱出にはMantleが必要な為、敢えて取らずにスルーしたプレイヤーも多かった。

AD&D第一期ルールブックに記載されている「Sword+2,Giant Slayer」が元ネタと思われる。
通常はダメージと命中判定に+2のボーナス点が付く魔法剣に過ぎないが、
巨人系モンスターに対してはボーナスが+3になり、ダメージが二倍になると言う物。
余談だが、ファミコン版のファザナドゥに登場するGiant-Bladeは三つ又の矛みたいな武器になっている。

Murasame-Blade(ムラサメブレード)
XANADUでは「時の王の首を切り落とした妖刀」などと解説されている武器。

元ネタは明らかにWizardryに登場する最強武器MURASAMA BLADE!なのだが、
色々とネタが多いのでこれに関しては次回のコラムにて。

Disrupt-Mace(ディスラプトメイス)
XANADUではデータ上にだけ存在し、実際には入手できなかった武器である。

AD&D第一期ルールブックに記載されている「Mace of Disruption」が元ネタ。
通常、ダメージと命中判定に+1のボーナス点が付くメイスに過ぎないが、
悪のキャラクターが触れるとダメージを受け、アンデッドモンスターを一撃で破壊する効果を持っていると言う物。
アンデッドモンスターは「死んでいる」ので、倒す際は破壊、消滅、成仏させると言う表現を使うため、
KillerやSlayerの様な表現ではなく、Disrupt(破壊)と言う表記になっている。
なお、21世紀の現代では今更言うまでもないが、メイスは鎚矛(長柄の先に鉄球などの重りを付けた殴打武具)
であって槍ではない。ザナドゥファイルでは槍として扱われ、
使えば使うほど強くなる槍の矛先が……等と書かれているが、メイスに刃先がある筈もない。
元ネタのメイス オブ ディスラプションは善の僧侶向きの戦槌である。

Vorpal Weapon(ボーパルウェポン)
レベル10の封印されたタワーで手に入る、XANADUの象徴、ミスターミリオンヒッター。

今や出展も有名で、不思議の国のアリスの一説、ジャバウォッキーに登場する剣が由来で、
劇中で魔獣ジャバウォックを討ち取ったときの剣の名前だと言うのは知られているが、
Vorpalは作者ルイス・キャロルの完全な造語なので、Vorpal自体の意味は今もって不明。
日本語では訳者によって「まきれもなぎ」や「ことしえる」、
「けしにぐ(「くさなぎ」をずらした造語)」など、色々形容されている。
なお、現在ではボーパルと言えば「鋭い」「倒す」などの意味で使われるケースが多いようだ。

それはさておき、XANADUでの扱いだが、アリスから影響を受けたのなら、
恐らく名前を安直に「ヴォーパルソード」(もしくはブレード)とする筈で、
わざわざ名前をソードではなくウェポンとしたのはAD&D第一期からの影響であると思われる。
AD&D第一期ルールブックには魔法剣「Sword,Vorpal Weapon」が記載されているので、恐らくはこれだろう。
一定の確率で相手の首を落とす(一撃で殺す)ことが出来る強力無比な剣として紹介されている。
D&Dには、魔法武器の特殊効果に、一定の確率で相手の体の一部を切り落とせる、
「スライシング」や「ヴォーパル」と言う危険な特殊能力があり、AD&D第一期のVorpal Weaponは、
その能力が付与された魔法の武器(剣に限らない)と言う意味。

Refelx(リフレックス)
AD&D第一期では光線や視線(メデューサの石化睨みなど)等を反射できる、
Reflexと言う特殊能力を盾や鎧に付ける事が出来るのだが、その能力から採用したと思われる。
無論、XANADUでは名前を拝借しただけで、反射能力は採用されていないが……

各種のShield
XANADUでは魔法の盾に固有の名称が無く、+1Shieldや+4Shieldなど、
+と数値が異なるだけの安直な名前になっている。
これはD&Dにおける魔法のアイテムの扱いをそのまま流用した物である。(※4)
恐らく、12種類も個別に盾の名前など付けていられなかったのだろう。
RPGの発達した現在と異なり、80年代には特殊な盾の資料など無かったのだ。

ただし、この辺りの流用はWizardryに見られる“Shield+3(Evil)”など、
他にも露骨な物は存在する為、XANADUばかりをあげつらうのは気が引けるが……(※5)

この他、XANADU最強の鎧であるBattle-Suitsなどは、AD&D第一期ではありませんが、
SFを題材としたTRPG「トラベラー」に登場する「バトル・ドレス」が元ネタかも知れません。
トラベラーに登場するバトル・ドレスは、
着用した人間の力や感覚を増幅する効果のある戦闘装甲服で、
XANADUのBattle-Suitsと設定的に似通った部分が見られます。
XANADUシナリオUではパッケージ自体に「トラベラー的要素」など、
開発者がトラベラーを参考にしていた事を匂わせる表記もある為、
バトル・ドレスのイメージからBattle-Suitsを創作した可能性は高いでしょう。


※4 Dungeons and Dragonsにおけるアイテム
TRPGであるD&Dでは、基本的にアイテムに決まりきった名前は存在せず、
性能の数値データでしか呼ばれない。
つまり、Flame Swrod(炎の剣)や、Dragon Sword(龍の剣)など、固有の名詞ではなく、
Sword+1(+1の強さの剣)や、Swrod+2 Flame on Command(炎が出る+2の強さの剣)や、
Shield+1(+1の強さの盾)など、魔力の大きさや、使用できる能力を数値や形容詞で現しただけの物になる。
通常のSwordは8面体サイコロ一個分、つまり1〜8のダメージを与える武器として存在しているが、
これに+1の力が付与されていると、ダメージと命中判定に+1のボーナスが付く。無論+2なら+2である。
また、これに特別なタレント(能力)を追加することも可能で、
Sword+2 VS Dragon+4(+2の強さの剣 ドラゴンに対しては+4の強さ)という剣ならば、
1〜8のダメージを与えるSwordに+2のボーナス。
そして、ドラゴンを相手にする場合は特効として+4のボーナスになる魔法の剣、と言う意味になる。

つまり、旧D&Dでは「エクスカリバー」や「トールハンマー」等と言った決まりきった有名武器は存在せず、
そう言ったアイテムが欲しい場合は、ゲームをデザインするマスターが自前で造って命名する必要があった。
例えば、「光の剣」の様な武器をゲームに出したいと考えたならば、
"LIGHT SWORD" Sword+1 VS Evil+3 Continual Light と言う武器を設定し、それに「光の剣」と言う「あだ名」を付ける事で再現する。
(+1の魔法剣、悪の敵に対しては特効で+3、光の魔法が使用できる。あだ名は「ライトソード:光の剣」)と言うように。


AD&D第一期ダンジョンマスターズルールブックより。
マジックアイテムの項目だが、見覚えのある名前がちらほらと……

※5 数多くあるAD&Dからの転載
XANADUに限らずスクウェアのRPG、ファイナルファンタジーも転載物が多い。
AD&D第一期では、炎の剣"Sword+1, Flame Tongue"、氷の剣"Sword+3,Frost Brand"、
防御の剣"Sword+4,Defender"、太陽の剣"Sun Blade"などが紹介されているが、
これらがフレームソードやアイスブランドなどの元ネタなのは言うまでもない。
一見弱そうな防御の剣、ディフェンダーが強いランクにあるのも、
AD&Dでは修正値が「+4」で非常に強力だった為、それをそのまま転載した為だろう。
ちなみに、ブランドと言うのはそのまんま「ブランド」で、
商標や焼き印(カーフ・ブランディング:仔牛の焼き印押しのアレ)を意味し、
ファイア・ブランドなら、焼きごての如く炎を焼き付ける剣、フロストブランドなら霜の結晶を刻印する剣と言う事。
ファイナルファンタジーはモンスターの転載も多く、AD&DモンスターマニュアルUを見ると頭がクラクラする事うけ合いである。
ビスコと間違われやすいので有名なピスコディーモンも、このAD&DモンスターマニュアルUの転載物。
FFTはオチュー(アティアグ)、バレッテ、ラクシャーサ、ゴーギマイラやピロリスクなど、マイナー所が満載。
ちなみに、ドラクエのウサギモンスター「アルミラージ」などもAD&Dからの転載と思われる。
(Al-Mi'raj(アル・ミラジ)は元々中近東、アラビア圏の伝承に伝わる一角獣。AD&D"Fiend Folio"で紹介されている。
ドラクエがイスラム圏の書物から採用したとはとても思えないので、アカイライ同様、AD&Dから取ったのであろう。)




■ 元ネタ モンスター編

ここでは、ゴブリンやアレスやシルフなど、有名で出展もすぐ解る物はともかく、
ちょっと気になるモンスターを列挙してコメントしてみました。
実際のゲーム画像のモンスターと比べてみると面白いでしょう。
なお、出典などは本ページの下にまとめて明記してあります。

XANADUでのモンスター名称
(括弧内のカタカナ表記はXANADUデータブック等の解説に準じる)
NO
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備考、詳細。
左の 画像はTRPG ダンジョンズ&ドラゴンズのモンスターマニュアル等からの物。


■ 元ネタモンスター一覧 ■

Aarakocra(アラコッラ)
AD&D第一期モンスター資料「Fiend Folio」などに記述されている、アーラコクラより。
元々はただの鳥人間であって、悪魔ではないのだが、XANADUでは悪魔になっている。

XANADUではレベル10に登場する、貴重なWinged Bootsの供給源。

Achairai(アチャイライ)
AD&D第一期モンスター資料「Fiend Folio」のAchaierai(アケイライ)より。
異界アケロンに生息しており、挿絵のように四つ足で歩く巨大なインコのような不気味な巨鳥。
外見に反して知能は人間並みかそれ以上で、しかも性格は邪悪。
元々はネイティブ・アメリカンの伝承に登場する神話上の生物がモチーフらしい。
XANADU以外にもドラクエ3で極希に「さとりの書」を落とす敵「アカイライ」として登場、有名になった。
「変な鳥がさとりの書を持っているのはおかしい」と良く指摘されていたが、前述の通り、元ネタのアケイライは知能が高いので、さとりの書を持っていてもおかしくはない。

Amphisbaena(アンフィスバエンド)
NO
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南ヨーロッパから北アフリカ周辺で伝えられる伝説の怪物アンフィスバエナより。
単純な「双頭の蛇」と言うわけではなく、普通の頭だけでなく、尻尾の方にも頭が付いているワイバーンの様な怪物で、羽が付いていて空を飛ぶ。
AD&D第一期モンスターマニュアルのジャイアントスネークの亜種として紹介されているので、恐らくそこから参照したものと思われる。

ASCOMOID(アスコモイド)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
XANADUでは大きな目玉だったが、AD&D第一期の方では目玉はない。
ただし設定は殆ど同じで、胞子の詰まったボール状のモンスターとして紹介されている。

XANADUではレベル5に登場。

ASMODELIS(アスモデリス)
NO
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有名な悪魔アスモデウスの誤読。
AD&D第一期モンスターマニュアルにDevilの上級モンスター、
Arch-devilとしてAsmodeusが紹介されているので、それを参考にしつつも綴りを間違ったと思われる。

Assassin Bug(アサシンバグ)
初出はAD&D第一期モンスター資料"Fiend Folio"より。
他の動物に卵を産み付ける蠅は実在する為、そこから想像して、採用されたモンスターだろう。

ちなみに、MIA社から出版されていたゲームブック、
「ドラゴンスレイヤー」に登場するアサシンバグとの挿絵は、
左のAD&D第一期に描かれている挿絵とそっくりである。

AXEBEAK(アックスビーク)
XANADUファイルなどでは戦士カール・アクスビークがどうのこうのと解説があり、リバイバルXANADUではメカモンスターのような扱いを受けているが、元ネタとしてはAD&D第一期に登場する、そのまんま「斧のくちばし」と言う意味のダチョウに近い姿をした怪物。

Bael(ブエル)
有名な悪魔バアル(バエル)の誤読だが、AD&D第一期モンスターマニュアルUでは、Demon(※6)の上位モンスター、地獄の公爵としてバエルが紹介されているので、恐らくこちらから参照したと思われる。
挿し絵ではモーニングスターで武装したオーガのような姿で書かれているが、XANADUではバードマンのような鳥人間、等身大のチキンとして扱われている。
シナリオUのメッセージでは、ガルシス=ルシファーで同一視されているようだが、そのルシファーの副官的存在の大悪魔が同じゲーム内で鳥人間のザコにされているのは気の毒。

Bee Giant(ビージャイアント)
NO
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「巨大蜂」なら元ネタも何もないのだが、巨大な蜂としたいなら「Giant Bee」の筈。
恐らく、AD&D第一期モンスターマニュアルUの表記、"Bee,Giant"をそのまま丸写しした結果と思われる。
Lampery Land、Fire Giantの項目も参照のこと。

Beholder(ビホルダー)
NO
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D&Dのオリジナルモンスター。
色々とネタが多いのでこれに関しては次回のコラムにて。

Berserker(バーサーカー)
今でこそごく当たり前の存在になった狂戦士であるが、当時はそれほど有名ではなかったので、恐らくはこれも、AD&D第一期モンスターマニュアルよりの転載であろう。

なお、左図は左がAD&D第一期モンスターマニュアル。
右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵である。

BLOOD WORM GIANT(ブラッドウォームジャイアント)

これは見たまんまである。
ゲーム中では「BLOODWORM」としか表記されないが、説明書やザナドゥデータブックなどでは、ブラッドウォームジャイアントとして紹介されている。
でかい吸血虫と言う意味ならジャイアントブラッドウォームの筈だが、わざわざ語尾にジャイアントが付いているのはビージャイアントなどと同じく、AD&D第一期のモンスター資料"Fiend Folio" に "BLOODWORM ,Giant"と表記されているものをそのまま流用した為と思われる。

なお、左図は上がAD&D第一期の挿絵。
下がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵である。

Boalisk(ボアリスク)
NO
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AD&D第一期モンスターマニュアルUに凝視による微弱なマヒ能力を持つ蛇として登場。
挿し絵そのまんまのデザインで採用されている。
何もこんな蛇モンスター如き、他から流用しなくても普通にViperとかで良かったと思うのだが。

BOOBRIE(ブーブリ)
NO
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スコットランド、アーガイル湖に棲むと言われる巨鳥、ブーブリーより。
所謂ネッシーのようなUMAの一つ。長い首と脚を持つ巨大なツルのような姿をしていると伝えられる。
AD&D第一期モンスターマニュアルUで紹介されているので、恐らくはここから取ったと思われる。

Carrion Crawler(キャリオン・クローラー)
NO
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最近のRPGでも当たり前のように登場するので、一般的なモンスターと思われがちだが、実はほぼD&Dシリーズのオリジナルモンスターと呼べる存在だったりする。
そもそも、Carrion(死骸)Crawler(はい回る)とは、「死肉を漁って這い回る怪物」程度の意味しかない。
名前の意味で考えれば、キャリオン・クローラーと言う名前でイモムシみたいなモンスターだったりしても、全然問題ないのだが、現在のように触手の付いた巨大ムカデみたいなイメージが一人歩きしているのは、AD&Dモンスターマニュアルの挿し絵に寄るところが大きい。なお、筆者はこの手の多足、節足動物が苦手なので挿し絵は載せませんでした。

CAMAZOTZ(ケマゾツ)
NO
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南米、古代マヤ文明の神話に登場する悪魔「カマソッソ」が元ネタ。
AD&D第一期のモンスター資料「deities & Demigods」の中南米アメリカの神々の章に記載があるので、恐らくそこから取ったものと思われる。
Camazotzをカマソッソと読めなかったのは、資料の少ない80年代当時では仕方がないとしても、カマソッソはコウモリの姿をした邪神で、XANADUのモグラ叩きのモグラみたいなデザインではない。
deities & Demigodsでは、ご丁寧に"Bat God"(コウモリ神)と記載されているのに、何故あんなデザインに……
現在はアトラスの悪魔召還RPG、女神転生シリーズに登場しているため、比較的世に知られるようになった。
余談だが、1982年に和訳された児童向けSF小説"A Wrinkle in Time”の邦題が「惑星カマゾツ」であった。(この小説の舞台は惑星Camazotz、Ixchelなどマヤ関連の名前が多い。)やはり80年代にマヤの神の名を正確に読むのは無理だったようである。

Cave Fisher(ケイブ フィッシャー)
NO
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AD&D第一期モンスターマニュアルUに記載されている。
XANADUの説明書巻末にあるモンスターズマニュアルに書かれている基本的な設定と殆ど一緒。

CERATSAURUS(サラトサウルス)
NO
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AD&D第一期モンスターマニュアルの恐竜族の一種より。
XANADUの説明書巻末にあるモンスターズマニュアルに書かれている基本的な設定と殆ど一緒で、火山帯などに生息する。

Chaggrin(チャガリン)
AD&D第一期モンスターマニュアルUに記載されている。
XANADUの説明書巻末にあるモンスターズマニュアルに書かれている基本的な設定と殆ど一緒で、挿絵も人間のドクロそっくりの頭部を持ったハリネズミである。

Charon(チャロン)
元ネタはギリシャ神話の三途の川アケロンの渡し守、カロンなのだが、
AD&D第一期モンスターマニュアルUで、下層世界(所謂「地獄」や「魔界」の事)
ゲヘナやタルタロスに棲むDaemon(※6)の一種として、
Charonが紹介されているので、恐らくはこちらを参考にしたと思われる。

Coliati(コリアティ)
NO
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南米、アステカに伝わる蛇の神Quetzalcoatl「ケツァルコアトル」の「コアトル」が元ネタ。
地元の言語で「翼持つ蛇」と言う意味を持つ。
AD&Dではコアトル(Couatl)と紹介されていおり、恐らくはここから参照したと思われる。
なお、このモンスターはXANADUでは誤植の塊で、1回目がColiati、2回目がColiatil、3〜4回目がColiatlと、綴りが全然違う。

Cyclopskin(サイクロップス)
単なるサイクロプスならありがちで元ネタも何もないが、
AD&D第一期モンスターマニュアルUにそのまんまのモンスターが存在するので、恐らく転載と思われる。

XANADUではシナリオUのレベル10に登場するが、
出現場所が僻地なので、こいつと出会えずにゲームが終ってしまう場合も多々ある。

CZ-812CE
NO
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ラスボスより強い雑魚としてXANADU名物になったメカモンスター。
これはSHARPのパソコンX1 Fモデル20の型式番号である。

Dark Stalker(ダークストーカー)
AD&D第一期"Fiend Folio"に登場。
Dark Creeperと呼ばれる闇の部族の暗殺部隊として紹介されている。
暗殺部隊なのでAD&D第一期の挿絵ではナイフを装備。
XANADUの様に変形の槍は持っていない。

なお、左図は左がAD&D第一期の挿絵。
右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵である。

Death Charona(デスチャロナ)
未確定だが、AD&D第一期モンスターマニュアルUのDaemonの一種、
CharonaDaemonを参考にしてのではないかと思われる。
挿し絵は左図の通りフードを被ったがい骨。
なお、同社のゲーム、ソーサリアンではそのままチャロナデーモンが登場している。

XANADUではシナリオUのレベル6、パチンコ面で登場。
画面中央のはしご部分にたむろしていたりするので邪魔。

DECATON(デカトン)
初出はAD&D第一期モンスターマニュアルUより。
異世界に生息する機械のようなクリーチャーModron(モドロン)一族の亜種で、デカ(10)のモドロンと言う意味。
後述するが、元ネタはモノドロンの兄弟だと知ってしまうと驚く人も居るかも知れない。
左図は左がAD&D第一期モンスターマニュアル。
右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵である。

DergoDaemon(デルゴデーモン)
キリスト教系の教義で原始の悪魔とされるデモゴーゴン(デモゴルゴン)の誤読……と言いたい所だが、AD&D第一期モンスターマニュアルUではDaemonの一種として、DerghoDaemonが3つの脚に5つの腕を持つ姿で紹介されているので、恐らくこれをそのまんま参考にしたと思われる。
なお、デモゴルゴンの方もAD&Dでは取り上げられており、こちらは二流のDaemonであるデルゴダイモンと異なり、魔の王子と呼ばれる最上級の悪魔として紹介されている。

Dispatar(ディスパター)
NO
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AD&D第一期モンスターマニュアルのArch-devilとして
Dispatarが紹介されているので、それを参考にしたと思われる。
ただ、XANADUでは司祭のような姿だが、AD&Dでは完全に悪魔の姿なので、デザイン上はかなり異なる。

Dreatch(ドレッチ)
デザインはAD&D第一期からそのまま採用したと思われるが、設定は異なる。
XANADUではシナリオUのレベル5に登場する。
XANADUの設定では原始人扱いだが、AD&D第一期モンスターマニュアルUのDreatchは下級Demonの一種として紹介されている。

Dustdigger(ダストディガー)
AD&D第一期モンスターマニュアルUに登場。
砂漠などで犠牲者を待ち受けるアリ地獄のようなモンスターで、
XANADUのように空を飛んだりはしない。

Duerger(デルガ)
NO
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Duergar(ドゥエルガル)つまりはドワーフの事。
AD&Dではグレイ・ドワーフと称される、邪悪なドワーフの一種族とされている。
丁度、エルフにおける黒エルフや闇エルフのような存在と考えると解りやすい。
元々、北欧神話の妖精Dvergr(ドヴェルグ)が現在のドワーフの語原であり、
読み方が異なるだけで、ドゥエルガルも普通のドワーフを意味する言葉なのだが、
AD&Dを含め、一般的なTRPGではドワーフとドゥエルガルは別種族として扱われている事が多い。

Excutioner's Hood(エクスキューショナーズ フッド)


AD&D第一期モンスターマニュアルUからの転載。何もかもそのまんまでイラストも丸写し。
左図は上がAD&D第一期モンスターマニュアル。下がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

設定ではザナドゥファイルに、「悪魔フッドルーナの息吹がどうのこうの」とか、もっともらしい説明が書かれているが、実はこのモンスター、エクスキューショナーズヘッド(死刑執行人の頭)をもじったギャグモンスターなのだ。
Hoodのグラフィックをよく見てみよう。フードを被った中世の死刑執行人の頭に見えてくる筈。
ほら、こんな感じで(モデル:M&MBookTのエクスキューショナー氏)

余談だが、古いD&Dにはアシカの顔がライオンになってる「シーライオン」とか、アヒルのくちばしをしたウサギの「ダックスバニー」とか、ステゴサウルスがムカデになってる「ステゴセンチピード」とか、この手のふざけたギャグモンスターは結構存在している。

Froghemoth(フロッガモス)
AD&D第一期のシナリオモジュール「Expedition to the Barrier Peaks」に登場。
AD&DのモンスターマニュアルUにも掲載されているので、XANADUはこちらから採用したと思われる。
挿絵で解る通り、目が飛び出た四本の触手を持つ巨大ガエルと言ったような異様な姿をしており、かなり強力なモンスター。
なお、シナリオモジュールの「Expedition to the Barrier Peaks」は墜落した宇宙船を探索すると言う無茶苦茶なシナリオで、ロボットやレーザー銃などが登場。
和訳されなかったが、AD&Dにはこの手の「似非SF」のようなシナリオが結構存在している。

GalebDuhr(ゲーリブダー)

AD&D第一期モンスターマニュアルUの"Galeb Duhr"からの転載。
左図は上がAD&D第一期モンスターマニュアル。下がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。
この絵を見れば解るが設定も何もかも丸写しで、イラストなど苔が生えてるか生えてないか程度の差しかない。

なお、同じくファルコム社のゲーム、ソーサリアンでは「ガレブ・ドゥール」として登場している。

Garbug(ガーバグ)
斬新な「飛行ザリガニ」モンスターであるが、これもやはりXANADUオリジナルと言う訳ではなく、AD&D第一期"Fiend Folio"が元ネタである。
左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

上のゲーリブダーもそうだが、わざわざ絵を左右反転させている所に悪意というかセコさを感じる。

Gloomwing(グルームウィング)
NO
PICTURE
AD&D第一期モンスターマニュアルUからの転載。挿し絵もそのまんま毒蛾のモンスター。
筆者はジャノメ蝶と蛾が苦手なので参照画像はなし。

GIANT FIRE(ジャイアント ファイヤー)
NO
PICTURE
炎の巨人ならFire Giantなのだが……詳しくは別項で。(※7)

Giant Strider(ジャイアントストライダー)
AD&D第一期モンスター資料"Fiend Folio"に登場。でかいダチョウである。
これは単一の種族故、AD&Dでも"Strider,Giant"ではなく、"GIANT STRIDER"
と表記されていたので、そのままXANADUでも採用されている。

Grell(ゲレル)
AD&D"Fiend Folio"を参照にしたと思われるが、デザインは結構異なっている。
AD&Dでは触手で11回攻撃が可能な敵で、相当手ごわい。
ちなみに、本Webページで攻略しているゲーム「ゼリアード」の最終面、
魔王の世界で出てくる飛行脳みそのデザインが、この"Fiend Folio"版のGrellそのまんまである。

Grimlock(グリムロック)
元ネタのAD&Dにおいては、大きさは人間並で地下に棲む食人鬼なのだが、
XANADUでは小人の群れにされてしまった。
"Fiend Folio"の挿し絵では集団で描かれている為、そのまま採用してしまったのではないだろうか?

HVC-022
NO
PICTURE
シナリオUに登場する四つ足で耳がラッパのようなメカモンスター。
これは任天堂ファミリーコンピュータ、ディスクシステムの型式番号である。

Itzamuna(イザムナ)
NO
PICTURE
南米、マヤの龍神「Itzamna:イツァム・ナー」が元ネタで、言うまでもなくイソギンチャクの様な姿ではない。
AD&D第一期「deities & Demigods」の南米の神々の章に記載があるので、そこから採用したと思われる。
また、南米の神は読みが難しいので、カマソッソ同様名前が読めなかったのも仕方のないことだろう。
ちなみに、イツァム・ナーは後述する女神「Ixtchel:イシュチェル」を妻としている。

Isis(イシイス)
NO
PICTURE
有名なエジプトの女神イシスの誤読である。
今ではコナミの遊戯王でもその名が出てくるので、子供でも知っているだろう。
これも「deities & Demigods」のエジプト神の章からの流用と思われる。

Ixchel(イッチェル)
NO
PICTURE
XANADUではムカデの体に花が乗っかっているような不気味な「薔薇ムカデ」だが、
元ネタは南米マヤの水の女神イシュチェルで、前述のイツァム・ナーの奥さんである。
本来水の神だったIxchelの方が花の化け物にされ、
龍神だったItzamnaの方が水棲生物っぽいイソギンチャクにされたのは皮肉である。

Jann(ジャン)
AD&D第一期モンスターマニュアルUに登場。
最下級の人間型精霊で、ジニィやマーリド、エフリーテの亜種。
ジャンはロマサガなどに登場しているので、今ではそちらの方が有名かも知れない。

Karttikeya(カーティケヤ)
NO
PICTURE
第一回目のコラムでも密かに解説したが、インドにおけるシヴァ神の息子、
軍神カルティケーヤ(スカンダ)の誤読だが、カーティケヤでもそれほど間違ってはいない。
なお、仏教に組み込まれた際には「韋駄天」とされた。
当時はこれの読みで難儀しており、PC雑誌などでは「カーテキヤ」だったり、
下手をすると「カラテカ」と書いてあったりと、酷い有り様だった。
これもAD&D第一期「deities & Demigods」のインド神話の章に記載があるので、ここからの流用だろう。
ちなみにインドでは御利益にあやかろうと、男の子にカルティケーヤンと言う名前を付ける事が結構ある。

Kelkedorl(ケルケドル)
NO
PICTURE
エノク書に登場する十二枚の羽を持つ悪魔(堕天使)Kalkydriカルキュドリ、カルキドリより。
XANADUではただのチキンみたいなデザインに……

Lamprey(ランプレイ)
NO
PICTURE
AD&D第一期モンスターマニュアルに登場する吸血ヤツメウナギである。
なお、このランプレイはレベル5に生息する陸のヤツメウナギモンスターなのだが、
後述するLamprey Landはレベル3にいる蛇のモンスターなのだ。
何故こちらのLampreyが陸ウナギになり、Lamprey Landが蛇になってしまったのだろうか?
不可解な事が多いモンスターである。

Lamprey Land(ランプレイランド)

XANADUではレベル3で登場する毒蛇モンスター。
AD&D第一期モンスターマニュアルUでは直訳そのまんま陸のヤツメウナギモンスターなのだが、
その意味なら綴りはLand Lampreyでないとおかしい。
何故こうなったかと言えば、AD&Dのモンスターマニュアルでは、
モンスターの名前の後に、属性が書かれており、その“Lamprey,Land”
(ヤツメウナギモンスター、陸上生息型)と言う表記をそのまま安直に丸写しした結果、
この様な名前になってしまったのである。別項で説明しているGiant Fireの欄も参照のこと。

なお、左図は上がAD&D第一期モンスターマニュアル。下がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Lilith(リリティ)
NO
PICTURE
今でこそ悪魔「リリス」は有名すぎる訳だが、80年当時では資料が少なかったので……
なお、これもAD&D第一期モンスターマニュアルにDevilとして名前が登場している。

LimberHulk(リンバー・ハルク)
AD&D第一期のUmber Hulk(アンバー・ハルク:褐色の怪物)の誤読である。
AD&Dではカブト虫と人間を合成したようなデザインだが、XANADUでは陸ガニ。
ちなみに、このモンスターはD&Dでは古く、結構由緒正しいモンスターで、
1976年発の旧D&Dサプリメント、グレイホークの頃から存在している。

MAGMAN(マグマン)
AD&D第一期モンスターマニュアルUに記載されている。
見た通りの炎のモンスターである。

XANADUシナリオUのレベル7に登場。
同レベルに登場する炎の魔物Izijutaと比べると地味。

Mantari(マンタリ)
AD&D第一期モンスター資料「Fiend Folio」に記述があり、イラストはそっくりである。

なお、左図は左がAD&D第一期モンスターマニュアル。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Mihtsu(ミアツー)
AD&D第一期モンスターマニュアルU初出のミスツー。
D&Dでは「ガス状のボディ」に鍵爪の付いた触手が武器となっている。
XANADUではゼリー状のボディに鍵爪触手となっているが、ほぼ同じ。

Monodron(モノドロン)
ケルト神話における女神マトロナ(モドロン)の事……と言いたいところだが、
元ネタはAD&D第一期より。異世界に生息する機械のようなクリーチャーModronの亜種。
ちなみに、前述のデカトンとは同じ種族で、攻撃に使う腕が一本だからモノドロン。
デカトンは10本で10回攻撃できるから「デカ」トン、
他にも触手8本のオクトンや6本のヘクストンなど色々いる。

Mist Dragon(ミストドラゴン)
NO
PICTURE
霧のドラゴンとすればありがちなのだが、やはりAD&D第一期モンスターマニュアルUにその姿を発見できる……

XANADUではシナリオUの最終エリア、レベル11に登場。
Deathを使ってくるが、大した実力はなく、弱い。

Mud Man(マッドマン)
泥男はありがちなモンスターなのだが、XANADUのマッドマンのデザインはモンスターマニュアルUの挿し絵そのまんま。

なお、左図は左がAD&D第一期モンスターマニュアル。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Myconid(マイコニッド)
ありがちなキノコ人間だが、AD&Dモンスターマニュアルの挿し絵がそっくりなので、恐らくはここからの転載であろう。
以後のRPGでは著作権などの面倒ごとを避ける為、この手のキノコ人間は単にファンガス(Fungus:菌類生物)と呼ばれることが多い。

左図は左がAD&D第一期モンスターマニュアル。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

NECROPHIDIUS(ネクロンアイデアス)
頭蓋骨と脊椎を使って造られたボーン・ゴーレムの一種。
奇抜なモンスターだが、XANADUオリジナルというわけではなく、元ネタはAD&Dの「Fiend & Folio」である。

左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

NEREID(ナーレッド)
ギリシャ神話の海の精霊ネレイド(ネーレーイス)の誤読。
近年では人魚スタイルにされる事が多いが、XANADUでは人型なので、
同じく人型で描かれていた、AD&DモンスターマニュアルUの挿し絵を参考にした可能性が高い。

XANADUではレベル7のカルマキャラクターとして登場。
タワーに入ろうとする所を邪魔してくれる。

Otyugh(オティフ)

元ネタはAD&Dのアティアグ。当時はOtyughをアティアグとは読めな(読まな)かった。
名前の読みはともかく、外見や仕様は元ネタのAD&D版と殆ど一緒で、「地下の清掃屋」と言う扱い。
左図は上がAD&D第一期の挿絵。下がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

ちなみに、こいつはFFシリーズにも「オチュー」と言う名前で登場している。
むしろ、今ではこちらの方が有名かも知れない。
なお、こいつは成長すると、"Neo-Otyugh"に進化するのだが、これも同様にFFで「ネオチュー」の名で登場している。

OWLBEAR(アウルベア)
AD&Dなどで登場するふくろうと熊を足したようなキメラ的怪物。
実はこれも一種のギャグモンスターで、
旧D&Dでは亜種にOWLEPHANT(フクロウ象)などと言うふざけたモンスターもいる。
XANADUではムカデと芋虫を足して二で割り、
目玉を縦に三つつけたような異様なデザインになっている。
なお、D&Dにおけるこの手の「妙」なモンスターは、D&D作者のガイギャックス氏が、
ゲームに使おうと思って買っていた、テキ屋で売ってるような版権不明の名無しの怪物人形を、
そのままモンスターとしてデザインした結果の事であるらしい。

Peluton(ペルトン)
欧州の伝承に伝わる死の鳥Peryton(ペリュトン)より。
シカの頭と脚を持ち、青白い体をした怪鳥で、影は人の姿をしていると言う。
AD&Dモンスターマニュアルにも記載あり。

XANADUではシナリオUのデカキャラとして登場している。
出現時の耳障りなBGMが心に残る。

RAIDEN(ライデン)
ライデン(雷神)の挿絵

ライコウと酒呑童子

XANADUライデン
考察すると少々複雑なモンスター。
その相撲とりそのものなデザインからして、実在した力士、
「雷電為衛門(らいでん・ためえもん)」がモデルと思われがちだが、どうも違うようだ。

AD&D第一期のモンスター資料「deities & Demigods」の「日本神話」の章に、雷神としてライデン、日本の英雄としてライコウが紹介されているのだが、まずは左にある三つの挿絵を見てほしい。
上の挿絵はAD&D第一期のライデンの挿絵で、「日本の雷神」と紹介されているのだが、この挿絵からはXANADUの相撲ライデンを感じさせるものは何もない。
これだけを見れば、XANADUの相撲ライデンはAD&D第一期からの影響はない独自のモンスターだと言いたくなるが、問題は次項で紹介されている「ライコウ」なのだ。

このライコウと言うのは金太郎こと坂田金時を部下にして、酒呑童子を打ち倒した源頼光の別名なのだが、このライコウ(頼光)を紹介した項目の挿絵が疑惑の根元。
左図中央の挿絵を見て欲しいのだが、これはライコウ(源頼光)が酒呑童子と戦っている挿絵と言う非常に紛らわしい挿絵で、(左の刀持った侍が源頼光、中央にでかでかと描かれたふんどし巨人が酒呑童子)しかも前述したライデンの項目と間違いやすい位置に描かれているのだ。
そして、一目見れば解るが、このふんどし巨人(酒呑童子)は明らかにXANADUの相撲ライデンである。

そして、今更確認するまでもないが、左図下の絵がXANADUモンスターズマニュアルでのライデンの挿絵である……誰の目から見ても明らかだろう。

ライデンとライコウの紹介されているページは隣接しているので、
恐らく、開発者がこの酒呑童子の挿絵をライデンと間違えたか、
もしくは意図的にこの二つを組み合わせて採用したのではないだろうか?

Sir Gawaine(サーグウェン)
NO
PICTURE
有名な円卓の騎士のガウェイン卿の事であるが、突然ガウェイン卿だけ出演しているのは謎である。
これもAD&D第一期のモンスター資料「deities & Demigods」の「アーサー王の英雄」の章にデータが記載されているので、
恐らくはそれを見た開発者が採用したのではないだろうか。

Shadow Daemon(シャドーデーモン)
ありがちなモンスターに見えるが、初出はAD&D第一期モンスターマニュアルである。

XANADUではシナリオUのレベル8に登場。
レベル8にはHydraやGriffonなど嫌らしいモンスターが多い為、
このShadow Daemonはあまりイメージに残らない。

SHAMBLING(シャンブリング マウンド)

AD&D第一期モンスターマニュアルのShambling Moundからの転載である。
AD&Dでは肉食の植物人間のようなモンスターとして紹介されており、巨木のような体がよろめくように動き回るので、シャンブル(よろめく)マウンド(丘)と呼ばれている。
XANADUでは設定もデザインも幽霊のようなモンスターになっているが、何故AD&Dから名前だけ借りて設定を無視したのかは不明。

なお、デザイン上では、XANADUのシャンブリングは完全に幽霊スタイルなので、AD&Dの挿絵とは似ても似つかないが、このAD&Dの方の挿し絵は、XANADUでは「Snow Man」として流用されたようだ。

余談ながら、左図上がAD&DのShambling Moundで、下がXANADUのSnow Manである。

Shrieker(シュリーカー)
イギリスの民話で、その叫びを聞いた者は死ぬと言われる姿なき幽霊の事。
バンシーの亜種であり、菌糸類とは何の縁もゆかりもないのだが、AD&Dではキノコモンスターにされてしまい、XANADUでも挿し絵そのまんまで丸写しにされた。
叫び声を上げる菌糸類(または植物)モンスターの草分け的存在である。
左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Slug Giant(スラッグ ジャイアント)
NO
PICTURE
旧D&DのグレイホークなどのルールではちゃんとGiant Slug表記になっているのだが、
AD&D第一期モンスターマニュアルUでは"Slug,Giant"と言う表記だった為、これをそのまま丸写しした結果、
この名前になってしまったと思われる。Lampery Land、Giant Fireの項目も参照のこと。

Spectator(スペクテーター)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
魔術師により番人として呼び出され、使役されるモンスター。
XANADUでも「宝の番人」とされている為、設定もデザインも何もかもそのまんまである。
なお、一応こいつは「ビホルダーの亜種」ではあるが、能力は強豪モンスターであるビホルダーとは雲泥の差で、スペクテーターの方が弱い。
XANADUではスペクテーターの方が圧倒的に強いのだが……
左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

SPINED DEVIL(スペンドデビル)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
主に偵察を任務とする下級のDevilである。
左図は左がAD&D第一期、右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

ちなみに、Spined Devilとは「棘の悪魔」と言う意味で、挿絵を見てもらうとわかるが、頭部から背骨、尾にかけてトゲがあるのが特徴。
安直と思う人もいるだろうが、Horned Devil(角悪魔)などの身体的特徴を名前にした悪魔は多い。
日本のRPGには棘もないのにスペンドデビル、スパインドデビルを称する悪魔が登場する事があるが、これもXANADUの影響かもしれない。

SPRIGGAN(スプリガン)
イングランド、コーンウォール地方に伝わる地霊の一種でドワーフのような存在なのだが、
AD&DモンスターマニュアルUでは武装した巨人兵として紹介されている。
それを参考にしたXANADUではモーニングスターを持った黒騎士のようなデザインになってしまった。

Ssendam(センダム)
AD&Dにおける混沌の生物スラード族の最古の存在である、
狂気の女王スセンダム(Ssendam、Stendam)が元ネタ。
外見はXANADUでもAD&Dでも「脳みそが入ったアメーバ」で、デザイン的には一緒。
元ネタのAD&Dでは雑魚として出して良いような弱い存在ではない。

Stroper(ストローパー)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
見たとおりそのまんまなので、語るべき事もない。

左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Tasloi(タスロイ)
AD&D第一期モンスターマニュアルUからの転載で、ゴブリンなどの様な子鬼の一種である。
挿し絵も四角い盾と、矢のような投げ槍を持った小人のイラスト。

XANADUではシナリオUのレベル2に登場。
Hob Goblinらと共に良いGold稼ぎの友だった。

Thunderherder(サンダーハーパー)
NO
PICTURE
AD&D第一期モンスターマニュアルUのサンダーハーダーより。
巨大な芋虫であるパープルウォームの亜種である。

XANADUでは“Herder”の読みが何故か「ハーパー」になっている。

Ustilagor(アスティラゴア)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
脳のような姿をした菌類の一種。
精神攻撃を仕掛けてくる点も含めてほぼ丸写しと言える。

左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Varrdig(バルディグ)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。
水の精霊界より来た異様な存在で、5〜6本の鳥の脚がついたシュークリームみたいな体から、何本も水道パイプのようなものが突き出ているというなんとも形容のしがたい姿をしている。

XANADUではシナリオUのレベル10に登場。
しかし、良くこんなマイナーモンスターを登場させる気になったもんである。

Verbeeg(ベルビーグ)
AD&D第一期モンスターマニュアルUより。巨人族の一種である。

XANADUではシナリオUのレベル6、通称パチンコ面に登場している。

Yochol(ヨチョール)
AD&D第一期のYochlol(ヤクラル)が元ネタ。XANADUは"l"が一個足りない。
混沌の魔物で、溶けたロウソクから触手が出ているような異様な姿をしている……と言うかイラスト丸写し。

左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Volt(ボルト)
攻撃力50万のショッキングな敵。
XANADUオリジナルモンスターと思っていた人も多いのではないだろうか?
でも、やはりこいつもAD&D第一期"Fiend Folio"が初出である。
挿し絵そのまんまのデザイン。

左図は左がAD&D第一期の挿絵。右がXANADUモンスターズマニュアルの挿絵。

Xaren(ザーレン)
AD&D第一期のモンスター、ザレンより。
地の精霊界より金属を求めてやってきたモンスター、ゾーンの亜種で、
こいつに攻撃されると魔法の金属が喰われると言うモンスターであった。
デザイン的にはAD&D第一期モンスターマニュアルUの挿し絵とそっくり。
XANADUではシナリオUのレベル10に登場予定だったが、ボツになり、出現しない。

Yuan Ti(ヤンティ)
AD&D第一期モンスターマニュアルUの蛇人間ユアンティより。
挿し絵も刀を持った蛇人間で殆ど一緒である。

XANADUではシナリオUのレベル4に登場。
デザインが女になっているが、基本的にAD&D第一期の設定と同じ。

他、シルフ、アレス、ハーフリング、クレイゴーレム、オークジェリー、アヌビス、コカトリス、
カッパードラゴン、サラマンダーなど、敢えて「元ネタ」を捜すまでもない有名所も、
大半はAD&D第一期のモンスターマニュアルからの流用と思われます。
他にも色々ありますが(※8)、きりがないのでモンスターネタはこの辺りで……


※6 DemonとDaemon
日本ではどちらも「悪魔」と称される場合が多く、XANADUでも特に区別されていないようだが、
英語の言語的な意味のDaemonは、悪魔と言うよりも魔女が召喚して使う使い魔や、
使役霊と言ったような意味合いが強い。
また、AD&Dにおいては、Demon(デーモン)とDaemon(ダイモン)は区別されており、基本的に別の種族である。
具体的に言うと、AD&Dの世界では下方世界(簡単に言うと「魔界」)に悪の種族が生息しているのだが、
悪の中でも、秩序を重んじる種族がDevil族であり、混沌を求めるのがDemon族、
そして比較的中立の立場なのがDaemon族で、彼らはその中立の立場上、
Devil族とDemon族間の争いに、どちらかの陣営に雇われて加わったりする。
なお、AD&DにおいてはDevil、Demon、Daemonの三種族に力の優劣はないので、
Devilの方が格上とか、Demonが格下とかそう言う格付けはない。


※7  なんでファイヤー・ジャイアントじゃないの?
XANADUにはGiant Fire(ジャイアントファイヤー)と言うモンスターがいる。
「炎の巨人」ならFire Giantが正しいが、XANADUでは何故かGiant Fireである。
また、Bee Giant(ビージャイアント)と言うモンスターもいるが、
「巨大蜂」ならばGiant Beeとすべきである。
XANADUではこう言った名称の逆転現象が起きているモンスターが多いが、
結論から先に言うと、これはAD&Dのモンスターマニュアルから安直に丸写ししたのが原因である。

例えば、モンスターマニュアルでモンスターを調べる場合、
まず大きな種族名を引き、その後に細かい派生種を調べるという方法で行う。
一例を挙げてみるとモンスター「炎の巨人」を探したい場合は、
まず「ジャイアント(巨人)」の項目を開いた後、「ファイヤー(炎の種族)」を探す訳だが、
モンスターマニュアルの表記上は、

Dragon   Black (黒竜)       Lampery   Land (ヤツメウナギ陸生型)
Green (緑竜) Swamp (ヤツメウナギ沼地型)
Red (赤竜)
White (白龍) Bee Giant (巨大蜂)
  Soldier (兵隊蜂)
Giant Fire (炎巨人) Queen (女王蜂)
Frost (氷巨人)
Hill (丘巨人)
Storm (嵐巨人)

……と、言った具合に列挙されている。(なお、これは単なる一例である)
つまり、モンスターマニュアル上の名称をそのまま丸写しすると、
Giant, Fireとか、Lamprey, Landなどと言う表記になってしまうと言う事なのだ。

言葉で説明するより、実際に見て貰った方が解りやすいだろう。

このように。

なお、現行の和訳されているD&Dではこう言った表記はなく、
ちゃんとファイヤー・ジャイアントなどの表記になっている。

この手の表記はPCゲーム版XANADUだけではなく、ファルコム関連のゲームブック、
XANADUゲームブックや、ゲームブックドラゴンスレイヤーなどにも採用(?)されており、
スケルトンジャイアント、サーグウェンジャイアント、
ビースモール(小さい蜂)など、訳の分からないモンスターが登場する。

※8 その他出展不明なモンスター
XANADUシナリオUに登場するデカキャラ、Marivoux、Zschokke、Buzzatiに関してだが、
これらは三種とも欧州の有名な劇作家の名前である。
ただ単に、フィーリングで名前だけ拝借したのかも知れないが、
制作者側に、サミュエル・コールリッジの作品に興味のあった人物がいたのなら、
彼らのような欧州の劇作家に影響を受けていた可能性はある。
中でもイタリアの作家ブッツァーティ・トラベルソの「七人の使者」と言う短編集の中に「竜退治」と言う一片がある。

★ 出展と注釈 ★

Advanced Dungeons and Dragons(TM)  1st Edition
 TSR社より1978年に発売された第一版の物。
 1991年に新和から和訳出版された第二期のものや、
 現在刊行されているDungeons&Dragons第三〜四版とはルールが異なる為、
 本Webページでは区別する為「AD&D第一期」として表記しています。

・Monster Manual 1979年
 AD&D第一期準拠のモンスター辞典。

・Deities & Demigods 1980年
 「神々と亜神達」をデータ化した参考資料。
 なお、これの前身として、Gods Demi-Gods & Heroes
 (神々と亜神達と英雄達 1976年)も存在する。

・Fiend Folio 1981年
 魔神、悪霊を中心としたモンスターデータ資料。

・Monster ManualU 1983年
 AD&D第一期準拠のモンスター辞典第二部。



次回の「後編」では、さらに突っ込んだ話題を取り上げます。
結構タブーな話にも触れますのでファンの方は見ない方が良いかも知れません。


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